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マルコによる福音書 5章(「力」について) [マルコ]

ここでは「力」に注目したい。

「けがれた霊」悪霊(悪くなった天使)に取り憑かれた男がでてくる。男に憑いていたのは一人ではなく「軍団」であった。レギオンの意味は、たしか「軍団」である。大勢いたのである。日本にも「キツネ憑き」などと言われる事例がある。今日では精神疾患として取り扱われる分野であるが、ここでは現実に悪霊によってひき起こされたものとして記されている。

ここに出てくる男は驚異的な力を見せつける。

5:1こうして彼らは海の向こう岸、ゲラサ人の地に着いた。 5:2それから、イエスが舟からあがられるとすぐに、けがれた霊につかれた人が墓場から出てきて、イエスに出会った。 5:3この人は墓場をすみかとしており、もはやだれも、鎖でさえも彼をつなぎとめて置けなかった。 5:4彼はたびたび足かせや鎖でつながれたが、鎖を引きちぎり、足かせを砕くので、だれも彼を押えつけることができなかったからである。 5:5そして、夜昼たえまなく墓場や山で叫びつづけて、石で自分のからだを傷つけていた。

と、ある。

そんなことあり得ないと思う方もおられるだろう。だが、人間はそのくらいの力を出せるようである。フダンはそんな力は出せないが、「火事場のバカ力」というものがある。危急の場合、状況によってはフダン以上の力を出せるものらしい。というか普段は、筋肉が破損しないように「このあたりでヤメテおきましょう」と意識がストップをかけるのだという。そのストップがかからない状態が「火事場のバカ力」であるという。どこで読んだかは忘れてしまったが、麻薬使用時に警察に拘束され、かけられた手錠を引きちぎった事例を記憶している。であれば、この悪霊に憑かれた男もそのくらいのことはできたにちがいない。

もう一つの「力」はイエスから考える。

5:25さてここに、十二年間も長血をわずらっている女がいた。 5:26多くの医者にかかって、さんざん苦しめられ、その持ち物をみな費してしまったが、なんのかいもないばかりか、かえってますます悪くなる一方であった。 5:27この女がイエスのことを聞いて、群衆の中にまぎれ込み、うしろから、み衣にさわった。 5:28それは、せめて、み衣にでもさわれば、なおしていただけるだろうと、思っていたからである。 5:29すると、血の元がすぐにかわき、女は病気がなおったことを、その身に感じた。 5:30イエスはすぐ、自分の内から力が出て行ったことに気づかれて、群衆の中で振り向き、「わたしの着物にさわったのはだれか」と言われた。 5:31そこで弟子たちが言った、「ごらんのとおり、群衆があなたに押し迫っていますのに、だれがさわったかと、おっしゃるのですか」。 5:32しかし、イエスはさわった者を見つけようとして、見まわしておられた。 5:33その女は自分の身に起ったことを知って、恐れおののきながら進み出て、みまえにひれ伏して、すべてありのままを申し上げた。 5:34イエスはその女に言われた、「娘よ、あなたの信仰があなたを救ったのです。安心して行きなさい。すっかりなおって、達者でいなさい」。

イエスは「神の子」で特別な人間だから疲れるなどということは無かったろうと思うのは間違いである。上の引用によれば、イエスは「自分の内から力が出て行ったことに気づかれ」た、とある。それも、女性が気づかれないように近づいて密かに「さわった」にも関わらず気づかれてしまった。その時、イエスから「力が出て行った」。いわば、力が抜けたということになる。力が抜ければ疲れる。仕事に多くの力を使えば疲れ果てることもあったろう。

要するに言いたいのは、イエスは人間であった、ということである。そして、たいへん繊細でもあったということである。

では、そのキリストとしての力、特に奇跡をおこなう力はどのように補充されたのだろうか。聖書(イザヤ書)によれば次のようにある。

40:28あなたは知らなかったか、 あなたは聞かなかったか。 主はとこしえの神、地の果の創造者であって、 弱ることなく、また疲れることなく、 その知恵ははかりがたい。 40:29弱った者には力を与え、 勢いのない者には強さを増し加えられる。 40:30年若い者も弱り、かつ疲れ、 壮年の者も疲れはてて倒れる。 40:31しかし主を待ち望む者は新たなる力を得、 わしのように翼をはって、のぼることができる。 走っても疲れることなく、 歩いても弱ることはない。

ここで、力を与えるのは「主」とあるが、聖書のヘブライ語原文にはここで神の固有名が用いられている。実際のところ、固有名が入らないとヘンである。

口語訳聖書 マルコによる福音書
http://bible.salterrae.net/kougo/html/mark.html

新世界訳聖書 マルコによる福音書 5章
https://wol.jw.org/ja/wol/b/r7/lp-j/nwtsty/41/5#study=discover










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