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マタイ20章(立場の逆転、「十字架」、自分を高めようとする傾向)

章の冒頭にある「ぶどう園」のたとえは、19章末の「多くの先の者はあとになり、あとの者は先になるであろう」と述べたイエスの言葉の答えを示すもの。

自分を高める宗教指導者たちと彼らから低くみなされ(軽んじられ)ていたイエスの弟子たちの立場の逆転をしめすもの。要は、神の目から見てどうかが肝心である。人間ではない。

その後、つぎの記述。

20:17さて、イエスはエルサレムへ上るとき、十二弟子をひそかに呼びよせ、その途中で彼らに言われた、 20:18「見よ、わたしたちはエルサレムへ上って行くが、人の子は祭司長、律法学者たちの手に渡されるであろう。彼らは彼に死刑を宣告し、 20:19そして彼をあざけり、むち打ち、十字架につけさせるために、異邦人に引きわたすであろう。そして彼は三日目によみがえるであろう」。

イエスは、ちかい将来、自分の身に生じることを弟子たちに告げている。マタイの記述のなかでは、これで3度目になる。死刑に処されること、復活することを述べている。

ちなみに、処刑される道具として「十字架」とあるが、ギリシャ語原文では、この「十字架」に相当するところはスタウロスとなっているはず(いま希英対訳聖書が手元になく確認できないのだが)。それは「十字架」を意味しない。クロスするためには2本の棒杭が必要だが、スタウロスには2本の意味合いはナイ。それで、両手を開いてはりつけにされとは考えにくい。「十字架」は後代の作為的解釈によるものらしい。

W.E.Vineの聖書辞典(下記イメージ書籍:ISBN 0785250549)には、イエスが処刑された「十字架」(CROSS)については「STAUROS」の項目で “ denotes , primarily , an upright pale or stake.・・”と示されて、「スタウロス」が1本の直立する棒杭であることを示している。ウィキペディアにも、「十字架を意味するギリシャ語σταυρός(stauros)は本来直立した杭のことを表す」とある。


Vines Expository Dictionary of Old and New Testament Words (Super Value)

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  • 作者: Vine, W. E.
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つづいて、再び、イエスの弟子たちの間にある競争心、自分を高める傾向をしめす実例。

12使徒のうち、実の兄弟のヤコブとヨハネは母親をとおしてイエスに願いごとをする。彼らの母親は、イエスの母マリアの実の姉妹であった可能性がある。その関係を利用して、ヤコブとヨハネは有利な地位を得ようと画策した。しかしイエスは、「御国」=神の建てる王国(政府)で自分に次ぐ立場を得られるかどうかは神のご意志によるものであると諭す。あくまでも用いられるのは、それにふさわしい人であり、神の目から見て好ましく望ましい人である。

20:20そのとき、ゼベダイの子らの母が、その子らと一緒にイエスのもとにきてひざまずき、何事かをお願いした。 20:21そこでイエスは彼女に言われた、「何をしてほしいのか」。彼女は言った、「わたしのこのふたりのむすこが、あなたの御国で、ひとりはあなたの右に、ひとりは左にすわれるように、お言葉をください」。 20:22イエスは答えて言われた、「あなたがたは、自分が何を求めているのか、わかっていない。わたしの飲もうとしている杯を飲むことができるか」。彼らは「できます」と答えた。 20:23イエスは彼らに言われた、「確かに、あなたがたはわたしの杯を飲むことになろう。しかし、わたしの右、左にすわらせることは、わたしのすることではなく、わたしの父によって備えられている人々だけに許されることである」。 20:24十人の者はこれを聞いて、このふたりの兄弟たちのことで憤慨した。 20:25そこで、イエスは彼らを呼び寄せて言われた、「あなたがたの知っているとおり、異邦人の支配者たちはその民を治め、また偉い人たちは、その民の上に権力をふるっている。 20:26あなたがたの間ではそうであってはならない。かえって、あなたがたの間で偉くなりたいと思う者は、仕える人となり、 20:27あなたがたの間でかしらになりたいと思う者は、僕とならねばならない。 20:28それは、人の子がきたのも、仕えられるためではなく、仕えるためであり、また多くの人のあがないとして、自分の命を与えるためであるのと、ちょうど同じである」。

口語訳聖書
http://bible.salterrae.net/kougo/html/matthew.html

新世界訳聖書
https://wol.jw.org/ja/wol/b/r7/lp-j/nwtsty/40/20#study=discover




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